老人ホーム費用からの確認事項

高齢者人口が財政調整の基礎的数値となり、各市町村の高齢化率格差は解消されるのである。 介護保険財政の公的負担は利用料を除く財源の50%であり、国が25%、都道府県が12・5%、市町村が25%を負担するものとされている。
ただし、国の負担のうち5%相当分は調整交付金とされている。 この調整交付金の配分の考え方は次のようなものである。
第一号保険料は、基準額が施行時点で2、500円であるが、表6Eーのように所得別段階保険料とされている。 したがって、低所得者の高齢者が多い市町村では第一号保険料収入は減少することとなる。
この格差を是正するために、図612のように、まず全市町村に国庫負担20%を交付し、次に高齢者全員に基準額を乗じた保険料収入がある市町村には国庫負担5%、保険料収入が下回る市町村には5%に不足分を加えた国庫負担、上回る市町村は5%から剰余分を差し引いた国庫負担を交付する仕組みになっている。 費用はすべて公的負担でまかなわれてきた。

公的負担の配分1/8は、国去、都道府県17、市町村す(ただし、特別養護老人ホーム)である。 また、老人保健施設と療養型病床群については老人保健制度で運営され、利用料を除く費用の半分は医療保険から拠出される老人保健拠出金、残り半分は公費負担でまかなわれてきた。
公的負担の配分は、国41目、都道府県1一ロ、市町村114である。 1995年度ベースの給付費は、措置制度が一・O兆円、老人保健制度が一・一兆円であるから、市町村の公的負担はならしてす程度となる。
介護保険が施行されると、利用料を除く費用の半分は公費負担となる。 この公的負担の配分は、国218、都道府県118、市町村118であり、図6E3に示したように、市町村の公的負担はすからすと構造的に軽減されることとなる。
さらに、今後増大するサービスは、市町村負担17の在宅介護サービスであるから、将来的な財政負担を考えるとかなり大きな軽減となるといえよう。 介護保険の財源は次のよう保険料徴収方法と精算交付に徴収される。
第2号保険料は各医療保険者が医療保険料とセットで徴収し、未納があっても対象者(40歳以上の加入者および40歳以上の被扶養者)の人数分を診療報酬支払基金に拠出し、基金が市町村に交付する。 第一号保険料の7割は被保険者の公的年金給付から社会保険庁が源泉徴収を行って市町村に交付し、残りの第一号被保険者の約3割は市町村が本人から国民健康保険料とセットで徴収する。
また、介護保険財源のをは公費負担であるから、自動的に市町村に交付される。 したがって、市町村が保険料徴収事務を行うのは、図6E4のように、第一号被保険者の約3割、全体の財源の5%程度のみとなり、事務量はきわめて少なくて済むという特徴がある。
なお、1993年度の国民健康保険料の収納率は、全体で95・5%であるが、65歳以上の被保険者の収納率はほぼ99%に達し、しかも所得なしの階層においても収納率は98・9%であることを考えると、第一号被保険者の介護保険料の未納はほとんど心配するにはあたらないものと推定できる。 また、公的負担分と第2号保険料の交付は、後年度において実績額で精算するものとされており、給付額が予定を上回った場合も、83%は実額の交付が保障されている。
第一号保険料は不足するが、この場合は、都道府県に設置した財政安定化基金から、資金を貸与するものとされている。 また、第一号保険料の未納者増大による財源不足分に一定の条件で基金が1一zを交付することとされている。
基金の造成原資は、園、都道府県、市町村(第一号保険料)がそれぞれきずつを拠出する。 以上のように、介護保険の財政システムは市町村の財政負担にきわめて配慮したものとなっていることが大きな特徴といえよう。

介護保険が施行される場合、医療保険における診療報酬と同様に、介護報酬が設定されるものと考えられる。 介護保険の財政規模は、この介護報酬の水準と利用者の人数によって規定されることとなる。
実際の介護報酬が、この「介護費用の推計に当たっての計算基礎」よりも高く設定されれば、介護保険の財政規模は大きくなる。 現在、介護サービスの量が絶対的に不足しているところから、介護保険は民間セクターの大幅参入によって、サービス量を増大させたいという狙いがあるものとみなければならないが、この場合、介護報酬を高めに設定し、経営の維持と収益の保障を行わなければ、民間セクターの参入は困難となる。
この介護報酬の水準設定は、介護保険法案成立後の最大の問題となろうが、少なくとも「介護費用の推計に当たっての計算基礎」を下回るものとはならないであろう。 したがって、介護保険の財政規模は、厚生省試算をかなり上回るものと考えるのが妥当である。
介護保険の財政システムは、繰り返し説明したように、公的負担と保険料がすずっとなっている。 介護保険の財政規模が2倍となった場合、保険料は2、500円を5、000円に引き上げれば財源を調達できるが、公的負担の部分は租税でまかなわれるため、調達は容易ではないように考えられる。
しかし、実は介護保険は従来の公的負担割合をかなり軽減させるものであり、国庫負担、地方負担とも減少するから、その財源を引き継ぐ財政運営を考える必要がある。 図6E6に示したように、新ゴールドプランベースで、サービスの基盤整備が進められたとして、介護サービスにかかわる措置制度(利用料を除き全額公的負担)と老人保健制度(利用料を除き÷公的負担)への公的負担総額は約3兆円となる。
介護保険は、すが公的負担とされているから、この約3兆円を引き継げば、利用料をふくめて6兆円強の財政規模となる。 しかし、サービスが不足しているため、給付はマキシマムで5兆円程度にとどまる。
そうすると7、000億円程度の公的負担が減少する。 国、都道府県、市町村の負担の変化を示したが、国庫負担は5、000億円程度減少するのである。
これを、基盤整備に投入し、サービス量と介護保険給付額のバランスをはかるのが最も現実的で妥当な財源の引き継ぎ方策であろう。 しかし、この財源を国の財政赤字や医療保険財政救済にあてられることも予想しうる。
その場合、介護保険の財政規模の増大すなわち十分な保険給付が阻害されることとなり、市民の介護保険への期待が裏切られることになりかない。 従来の介護にかかわる財源を流用することなく、むしろ今まで以上に国の予算の中で確保していく努力が求められているのである。
介護保険への財源移転は金額的にかなり大きなものとなるといってよい。 介護保険法の残された課題また、介護保険は65歳以上の利用者にも一割自己負担を求めるものであり、高齢者に対して定率負担方式を適用している。

さらに、今後進められるであろう老人保健制度改革の中で、老人医療費の定率負担が導入されることが予想される。 これも、ある意味で医療、介護財源への年金の財政移転である。
介護保険財政は、このように年金保険、医療保険からの財源移転をひとつの特徴としており、将来の財政運営はさらにこうした財源移転が大きくなることが予想される。

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